アジア・ドイツ読書日誌と
ロンドン・東京・フランクフルト・シンガポール音楽日誌
ロンドン・東京・フランクフルト・シンガポール音楽日記
第四部:東京編A (1998−2008年)
松任谷由美 シャングリラV
日付:2007年7月7日                        場所:横浜アリーナ 
 荒井由美名義でデビューアルバムをリリースしたのが、確か私が大学に入りたての頃だったので、デビュー後35年目にして初めてのユーミン・ライブということになる。このデビューアルバムを同時代的に耳にし、曲の斬新さとクリーンな録音に魅せられ、その後断続的に聴き続けてきたが、海外暮らしが長く、また日本にいる時期は何かと慌ただしく、結局これほど聞き込んだ歌手のコンサートにこの歳まで行く機会を持つことができなかった。しかし、そろそろ時間的な余裕が出てきたこともあるのだろう、ようやく横浜アリーナで行われたシャングリラVで、生身のユーミンに接することができたのである。彼女の音楽とのつきあいを書き始めるときりがないので、早速コンサートの様子に移ろう。

 ドライアイスの煙がステージ表面を覆う中、グランドピアノを載せた四角い小さなステージが、4人の黒服の男に押されて、ステージ中央にセッティングされる。そしてユーミンが、黒のバロック風に腰を膨らました衣装で、赤い花束を持って登場する。花束をピアノの上に置くと、一曲目の弾き語りが始まった。ピアノ・ソロでの弾き語り。私の知らない曲である。途中から四角いステージが、歌っているユーミンを乗せたまま、ステージ中央の円形部分に沿って動き始める。続いてバンドが入りユーミンはピアノから離れると、ピアノは片付けられ、ユーミンはステップを踏みながらセカンド・コーラスを歌っていく。途中でバロック風衣装が左右に引かれ、タイトパンツに銀色のブーツ、カラフルな上着といういでたちに変身する。曲は私の知らないものであるが、まずは派手なオープニングである。

@ピアノソロ(ピアノ回転移動)からバンドへ。途中でバロック風衣装が左右に引かれ、タイトパンツに銀色のブーツ、カラフルな上着といういでたちに変身する。

AHappy Birthday to You-ヴィーナスの誕生 (Dawn Purple、1991)シンクロ。ステージは一転プールとなり、5−6名によるシンクロが始まる。彼らは。プールにはどこから入ったのか?少なくとも、プールサイドから入っていないのは確かである。もしかしたら、プール側面に、入り口があり、ステージが下がったタイミングで、そこから入っていたのだろうか?そんなことを考えていると、天井からリングにつかまりシンクロの元世界チャンピオンであるフランス人のヴィルジニー・デデューが登場。水面上でいくつかのポーズを披露した後、プールに入り、本来のシンクロを見せる。曲はシャングリラUでもテーマソングとなったおなじみのもの。ユーミンはプールサイドを回りながら、歌い続ける。曲の終了間近、頭に四角い箱を載せた人形が登場し、コミカルな動きを見せる。

Bピエロが登場し、ロックっぽい曲。上から見ると正方形三つで構成される鉄棒がセットされ、ピエロの鉄棒が始まる。当初は軽い回転業であったが、次第に車輪が入り、前後左右の人間がたくみにタイミングをずらし回転し、宙返りで着地していく。最後は、ひとつの鉄棒で二人が車輪をしながら、左右の位置を入れ替わるという、これまた実際にやっていた者からすると、とんでもない技を披露していた。国立グレートモスクワサーカス団である。

Cヒメジョオン、円形の空中ブランコ、女3人。天井から登場。ユーミンもこれに乗り、天井と中間程度の位置まで引揚げられ、歌を続けた。

Dインカの花嫁(Dawn Purple、1991)インディオの踊り。一回目のMC。ユーミンは元気である。

E雷雨の音と光が場内を交錯する中、パーカッションのみの演奏により、アマゾネス風衣装のダンサーによる水のダンス。事前の報道でも言われていた、ステージを10センチ下げた浅いプールでの水しぶきを使いながらの踊りである。

Fバラードに合わせた綱渡り。命綱を付けていない男は、バランサーをもって、角度のある昇りや、頭に球体を乗せた上での二人での綱渡りといった技を披露する。

G四角い宙ずりステージ。そこからの宙返り降りや飛び乗り。下で土台を組んだ男たちがスプリング板の機能を努めている。ユーミンは赤から白衣装へと変身。歌の最後にユーミンは天井へ消えるが、その直前、男がステージへ飛び降り。

Hアコギ+シンセ、スパニッシュ風ソロ。ユーミン螺旋階段から登場。バンド演奏へ。シンクロ。「バビロン」

I男、バラの頭載せパントマイム。モナムールという歌詞が残っている。

J時のないホテル? 男女二人のラテン風ダンス、ブランコ使用。女は命綱を付けていない。

KDelphine (Katmanzu、1995) シンクロ・デュオ

Lグローリア? 演奏のみ
(MC)

Mイルージョン・ソリテュードという歌詞。

Nピアノソロ 逆立ち男3人、ピアノ上の4人目、片手倒立

Oパーカッション、ドラムソロからエレキギター シャングリアを目指そう そのまま空中ブランコへ

P真夏の夜の夢 (U-miz、1993)ラテンダンス

Qアンコール・黒いドレス 「目覚めさせて、悲しい夢だったと」

RCarry on (Tears and Reasons、1992)

メンバー全員名前を紹介
サーカス約60人、シンクロ10人、バンド武部、ギター中川
9時半終了。

 中央ステージを囲む観客席。バンドは、当方の席から見ると、手前右にドラム、左にパーカッションがセットされているが、演奏が始まると、ドラムの前にベース、パーカッションの前にリードギターが登場した。向いの左角にはアコースティックギター、右角には女性コーラス3人組が位置し、その中間、こちらから見て正面向かいにキーボードがセッティングされている。

 今回の目玉は、公式には元世界チャンピオンであるフランス人のヴィルジニー・デデューと日本代表の武田美保という二人のシンクロ・スウィマーであるが、実際にはやはりサーカスが最大の見せ場を作っていた。鉄棒、空中ブランコ、綱渡りといった伝統的な技が、次々に変化するステージ上でユーミンの歌に合わせて彼に繰り広げられる。まさに歌とシンクロとサーカスが一体になったショウが、ユーミンと総合監督である松任谷正隆の目指すものである。ユーミンは、デビューしたての頃は、「歌は下手だが、曲は良い」という評価であったが、歌についてはそれこそ30年近く全く変わることはない。しかし、その良く通る声音が、こうしたショウには格好の刺激剤になっている。私と二日違いの誕生日のこの歌手と断続的に付き合ってもう30年以上になるが、こうして初めて彼女のステージに触れてみると、確かに松任谷という才能ある演出家の伴侶を得て、彼女はこうして生きながらえることが出来たのであろうと納得できる。私の高校の後輩であるキーボードの武部も含め、まあなかなか良い人生を歩んできた人達だな、と若干の羨望の念を感じつつも、一時の夢に浸ることが出来たライブであった。公演の最後に、ユーミンは60人近いサーカス団員、10名のシンクロ・チーム・メンバー全員を、アンチョコなしに紹介したが、これも何気ないけれども、たいへんなプロ根性を感じたのであった。

 尚、復習もかねて、前作である「シャングリラU」のビデオを見たので、合わせて簡単に構成を記載しておこう。こちらの売りは、スケートとサーカスである。

シャングリラU ビデオ


1  オープニング
2  LOVE WARS
3  Delphine
4  砂の惑星
5  おきざりにされた風景
6  Glory Birdland
7  ずっとそばに
8  輪舞曲(ロンド)
9  夢の中で we are not alone, forever
10 ダイアモンドの街角
11 観覧車
12 リフレインが叫んでる
13 WANDERERS
14 二人のパイレーツ
15 Nobody Else
16 Happy Birthday to You
17 航海日誌
18 SHANGRILAをめざせ
19 SWEET DREAMS
20 雪月花

バンド
Dr村石雅行 B.田中章弘 G.中川雅也 G.市川祥治(白髪)、小野かおり(P)松岡・須藤(女コーラス) 今井(男コーラス) 武部聡志(K.音楽監督)

2008年1月 記