アジア・ドイツ読書日誌と
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百舌の叫ぶ夜
原作:大坂 剛 
 大坂剛の小説は、1986年の直木賞を受賞し、著者の最初の出世作となった「カディスの赤い星」から始まり、多くの作品に接してきた。特に「カディス」のモチーフの延長線上で、スペインを舞台に、フランコ時代の日本、英国、ドイツ等のスパイ合戦を壮大な連作に仕上げた「イベリア7部作」は、日本滞在時期からシンガポール滞在時期にかけて、間欠的に読み続け、2019年にその最終章「さらばスペインの日々」を、感動しながら読了することになった。

 他方、著者には日本の警察を素材にした作品群もあり、それらも機会がある時に眺めていたが、この「イベリア」シリーズの通読が終わりに近づいた2018年9月、シンガポールから日本に一時帰国した際、新たな連作物である「百舌」シリーズの最初の一冊を、懐かしい東戸塚のブックオフで見つけ、その滞在の最終日に読了した。当時の読書の中では久し振りの日本語でのサスペンス小説で、出版は1990年。その後、著者のスペイン物に続く連作サスペンス小説として一時帰国の都度、そのシリーズを調達、そして今回の本帰国後は、シリーズの残された作品を図書館で見つけ、つい数週間前に、その完結編である第7作の「百舌落とし」を読了した。そこで、このシリーズのTVドラマ版があることを知り、まずはSeason1のEpisode10作を、暇にまかせてレンタル・ビデオで見ることになった。こうしたテレビ・ドラマを「映画評」で取り上げるのは初めてであるが、最近は洋物でも、TVドラマ化されている作品も多い(例えば、最近読了したル・カレの「ナイト・マネジャー」も、映画化はされていないが、BBC制作のTVドラマ版があるということである)のでご容赦頂きたい。

 まずこの原作であるが、テロリストである百舌が、左翼活動家である一人のターゲットを尾行するところから物語が始まる。一瞬見失ったそのターゲットを再度発見した時に、高性能爆弾が破裂し、ターゲットと通行人一人が巻き込まれて死亡する。そして別のところでは、一人の男が殴られた上で、断崖絶壁から突き落とされている。そして外国での東洋人の男が処刑されるヴィデオを見て復讐を誓う男。この導入部から、この事件を巡る刑事警察と公安警察を巻き込んだ捜査が開始される。

 崖から突き落とされた男は、記憶を喪失した状態ではあるが、奇跡的に一命を取り留める。その男を追う右翼組織の関係者と警察。右翼組織の関係者は、改めてその記憶喪失の男を殺そうとするが、男の反撃を受けて逆に殺される。また爆弾事件に巻き込まれ死亡した通行人の女性は、警視庁公安の刑事の妻であることが判明している。その刑事、倉木は、公安部長から爆弾事件の捜査担当を外されるが、妻の弔いのため独自の調査を開始する。倉木は、刑事警察でこの事件を担当している大杉警部とも接触するが、公安警察を嫌う大杉も、倉木には警戒しつつも共感する部分があることを感じている。二人とも、家族に関わる暗い過去を抱えていた。一方、事件の担当は、公安部長のお抱えの若松刑事が担当することになるが、彼は刑事警察の大杉には情報を出すことがない。

 記憶を喪失した男は、記憶を取り戻そうと右翼組織の関係者と接触するが、捕らえられ、ある写真の素材を追求されている。男の記憶は蘇らないが、自分に妹がいて、それが写真を持っていると疑われていることが分かる。倉木は、右翼組織や記憶喪失の男の住居の管理人等と捜査のため接触し、男の部屋が荒らされていることを確認している。記憶喪失の男は、監禁から脱出し、自分の住居を訪れ、顔見知りの管理人から、自分についての情報を聞きながら、記憶を取り戻そうとしている。その頃公安関係の担当刑事は、今回使われた爆弾が、南米の独裁国家の反政府テロリストが使っている爆弾であること、そしてその国の独裁者が近く日本を訪問する予定で、綿密な警護計画が立てられていることを知る。倉木は、その警護のための情報分析を命じられ、公安部長から計画の極秘資料を渡されていた。

 その倉木が、右翼団体が雇ったと思われる元ボクサーのやくざに襲われ重症を負う。その頃、公安の女刑事明星美希が、記憶喪失の男と、彼の妹の住居で男と対峙しているが、そこから戻った時に、重症の倉木が美希の自宅に転がり込んでくる。倉木からは、爆弾事件の当日の目撃情報をしつこく追及される。一方、妹の家から出た記憶喪失の男は、彼を張っていた右翼団体のメンバーに見つかり、再び拘束され拷問されるが、再び変態の監視人を殺し、脱出に成功する。

 大杉が、美希と接触している。その中で、記憶喪失の男は、テロを請け負うが、それを実行するのは彼の妹であることを知らされている。そこに庁内の内部監査を担当している津城特別監査官が現れ、美希と共に特命案件を追いかけていることが明かされる。

 時間が遡り、テロリスト百舌が登場している。左翼活動家を狙うが、彼は爆弾事件で死に、その後、彼の兄が右翼団体に引き立てられ、金沢のはずれにある崖から突き落とされるのを尾行して目撃。彼も足を滑らして、同じ崖から転落するが、奇跡的に助かったことが明かされる。そして彼が、殺された兄と双生児の兄弟であるが、女として育てられ、そして兄の指示を受けたテロを行ってきたことも明らかになる。そして時間が飛び、監視人を殺して脱出した時にそうした記憶が全て戻ってきたのである。

 大杉は、特ダネ記者から、爆弾で死んだ男から預かったものを引き渡す用意があると言われ、それの受け渡しに向かうが、その場を襲われ、それを奪われる。奪ったのは右翼団体の連中であったが、今度は彼らが百舌に襲われ、写真は百舌が手に入れることになる。それは南米独裁国家の独裁者来日時の警備計画書と男女の不倫を示す何枚かの写真であった。その不倫の写真に写っていた女は、爆発事件の当日、ターゲットに接していたことで、百舌には見覚えがあった。百舌は倉木が入院している病院で、彼に写真を見せながら、爆弾を仕掛けたのは、その写真に写っている女だと告げる。倉木は、その女はもう死んだと告げる。

 そして大団円は、稲城市にある精神病院に移る。若松を尾行し、津城と大杉が精神病院に到着する。百舌と会って、自分の妻の浮気写真を確認した倉木も百舌に拳銃を突きつけ、同じ病院に向かう。そしてその病院で、まず倉木が若松、そして公安部長と対峙する。倉木の妻と公安部長の不倫現場を、爆弾で死んだ左翼活動家が目撃し、それをネタに公安部長を強請っていた。それを阻止するために、倉木の妻がその男の鞄に爆弾をしかけ爆発させたが、妻もそれに巻き込まれた。それでは、その爆弾はどうして倉木の妻に渡ったのか?そこに公安部長が現れ、それは南米の独裁者暗殺のために、反体制派の外交ルートで持ち込まれ、自分が、愛人である倉木の妻に託して左翼テロリストに届けようとしたものだと言う。しかし、倉木の妻は、公安部長を守るため、彼女の一存で強請っていた左翼活動家を殺すべく、彼の鞄に時限装置を仕掛けて爆発させたというのである。公安部長は、南米の大統領自身が、自分の娘婿を無残に殺害し(冒頭の3つ目の逸話)、その結果彼の娘は精神を壊し、病院で悲惨な生活を送っていたのである。公安部長は、左翼テロリストにより独裁者を爆殺することで復讐を遂げる計画であった。大杉と津城は、公安部長と倉木の話を聞いた上で、彼らのもとに姿を現す。そして外で待機していた美希は、一旦右翼団体の幹部に拘束されるが、百舌の手で危機を逃れ、しかし、百舌に拘束されてその場に登場する。公安部長の裏には、保守の大物政治家が控えており、公安省設立による治安国家化を目論んでいるということも暴露される。そして最後は、入り乱れた銃撃、乱闘の中で、主要人物の何人かが命を落とすことになる。百舌と共に。

 これが映像(2014年4月〜6月、TBS/WOW WOW共同制作のドラマとして、全10話が放映された)ではどう表現されているのだろうか?主人公の警視庁の公安警部倉木を西島秀俊が、同じ公安巡査部長の明星を真木よう子が、そして刑事部警部補大杉を香川照之が演じている。

 まず最初の3話であるが、最初のテロは、銀座のど真ん中で、多くの通行人を巻き込む大惨事として描かれている(小説では、少数の被害者)。そこで死んだ倉木の妻への弔いで、公式には縁戚として捜査を外された倉木が一人で動き始める。倉木は、同じ公安警察官であった妻を爆弾事件で失う前に幼い娘を死なせた過去を持つ(これは原作にはなかった想定である)。娘の死の原因を倉木は疑問に思っている。そして、独自に爆弾事件を追う倉木。警視庁の大杉や、偶々現場に居合わせた美希と、当初は反目しながらも、次第に協力し、事件の真相に迫っていくが、闇企業から狙われ、重症を負う。

 続けて第4話。爆発事件の裏で、テロリスト新貝(百舌)を追いかける闇企業。第三話で重傷を負った倉木が徐々に回復する中、大杉は次第に彼に共感を寄せるが、大杉は別居中の妻と不良の娘の問題を抱えている。その彼らに、明星は、上司の監察官(津城)を紹介し、彼らが追っているのは、闇企業と結託した公安であることを告げる。一方百舌は闇企業に捕らえられ、拷問され、鍵となるICチップの在りかを追求されている。百舌の喪失した記憶を取り戻す協力をしている(有村架純演じる)若い女性が、闇企業から狙われる(これも原作にはなかったと思う)。一旦は、倉木らにより誘拐は阻止されたが、結局彼女は入院中の病院から拉致され、百舌のもとに引きずりだされてくる。

 第5話。監禁された百舌と女性は拷問され、チップの在りかを繰り返し聞かれるが、記憶を失った百舌は答えられない。女性はそのまま絶命する。同じ頃、倉木と大杉は、美希及び彼女の上司である津城と会い、そこで今回の爆発事件は、美希が百舌を追う中で発生したこと、そしてその百舌は、女装した殺人者の一卵性双生児の弟であったことが明かされる。そしてその兄弟の過去が、記憶を取り戻した百舌の回想で繰り返される。彼らは兄と妹として育てられるが、妹は学校にも女子として通うが、実は男で、幼い頃から殺害衝動を持って動物を殺していたことが語られる。そして一人親である父親を殺害した後、兄と共に、闇世界で殺し屋として生きてきた。兄が仕事を受け、妹が実行する。しかし、今回の事件で兄は闇企業に崖から突き落とされて死に、記憶を取り戻した弟は、その復讐に燃えることになる。百舌は、監禁を解き(原作では、変態の監視員を誘惑し脱出するが、それは描かれていない)、闇企業の監視役とそのボスを壮絶な闘い(やや長すぎる・・)の後、全員殺す。その中で記憶を取り戻した百舌は、チップを隠した場所から回収し、行方をくらます(生活資金はどうなってるのだろう?)。

 第6話。美希に、過去の秘密作戦(グラークスアルファ作戦)に関わる文書が送られ、彼女はそれを倉木に渡す。倉木は、この作戦に妻が関わっていたことから、妻の死にこれが関係していると睨み、その作戦を指揮した上司(室井)に問い詰める。その上司も植物人間となった娘を抱えている(原作では、彼の娘婿が、外国で殺されたことになっているが、映画ではそれは全く触れられていない)。そして大杉と監察官や美希たちは、公安の闇企業との癒着を暴くため(そのヘッド東は、元公安であることも明らかにされる)、公安の若松警視を挑発した後、彼を追跡する。他方、倉木は、闇企業のトップ東を尾行する中で、彼を狙って接近してきた百舌と高級レストランで対峙する。百舌は倉木に、今回の事件の鍵である、元テロリストのカバンに爆弾を仕込んだ謎の女の写真を見せる。それは爆発に巻き込まれて死んだ彼の妻千尋であった。

 第7話。室井が指揮したグラークスアルファ作戦が回想される。それは、公安が開発した国民監視システムが何者かに乗っ取られたことから、これを奪還するための秘密作戦であった。そして千尋を含めた5人が、潜入員として某所に送り込まれるが、それは罠で潜入員は壊滅、そしてなぜか千尋だけ生還したという(これも原作にはない)。そして今回の爆弾事件。これも公安が仕組んだ某国大統領来訪時のテロ防止(あるいはテロ実施)作戦の一環であった。それでも倉木は、何故千尋が、左翼テロリストのカバンに起爆装置を稼働させた爆弾を仕込み爆発させたのか、そしてそれを作戦の上司であった室井が画策したのかは、理解できない。一方百舌は東を待ち伏せして襲うが返り討ちにあう。東は、百舌が狙うべきは他にいる、と捨てセリフを残す。

 第8話。倉木は室井に、テロリストに起動した爆弾を仕掛け、爆発させたのは妻の千尋であると告げている。そしてそこで、千尋の元恋人で、血液型が異なる倉木の娘の実の親は室井であることが分かる(これも原作ではない想定である)。そして倉木は、室井からグラークスアルファ作戦の悲惨な結果を聞いている。

 他方、某国大統領の来日警備に関わる責任者若松が、ICチップで脅されたことで、千里を使い、テロリストに爆弾を仕込み爆発させたことが明らかになる。しかし、そのチップの中には、実は何も情報は入っていなかった。そのチップの回収を請け負った東は、姿を消す。

 倉木は、室井が千尋の死に直接の責任があるとして、植物人間の娘の病室で追及する。監察官や美希は、それを押し止め、別室で室井を尋問する。室井は、左翼テロリストを使い、某国要人へのテロを計画、そしてその受渡に千尋を利用したという。しかし、千尋が、爆弾の起爆装置を起動させたことは、室井にも理由が分からず依然謎である。

 その頃、百舌は爆弾事件の捜査本部に乗り込み、若松を刺殺、そして逮捕・拘禁される。そこを訪れた倉木に、「殺人に理由はない、衝動だけだ」と告げるのである。

 最後に、潜入捜査の唯一の生き残りとして生還した千尋に対する、作戦当局者による事情聴取のビデオが最後に挿入されている。

 第9話。倉木は、行方をくらまそうとしている東に呼び出される。そこで、東は、理想郷オメラスで、唯一拘束されている男の話を告げる(これも原作ではない話)。社会の存続のために、犠牲者が必要であり、それが今回の事件の真相であるという。東は、それを知ったことで公安を止め裏世界に入ったこと、そして倉木も同じ道を辿るだろうと告げる。

 津城は、室井を処分しない。彼は、その裏にいる、もっと大きな勢力に対する闘いがあると踏んでいる。室井は海岸沿いの別荘に蟄居され、倉木や大杉が監視役となる(これも原作にはない展開)。そして監察官は、警察庁長官らと、対策を協議するが、その席に官房長官が闖入し、この件からは手を引けと脅す。監察官は、官房長官は、某国要人へのテロにより、警察の無力を知らしめ、公安を独立させた新しい公安庁を作るという陰謀を準備していると睨んでいる。

 東の手引きで、警察の監禁を逃れた百舌が、室井を殺すために別荘に現れるが、大杉らの助けを受けて室井は生き延びる。そして室井の逃走を止めようとした美希を撃ち、別荘から去ることになる。これを受けて、津城は、官房長官が、室井を使い、公安庁を設立し、公安権力を握るという策動を行っていることを倉木、大杉らに告げる。しかし、別荘から逃れた室井は、監察官の執務室を訪れ、内乱予備容疑で監察官を身柄拘束、倉木も、爆弾事件の犯人が千尋であったことが確認されたとして、倉木も監視対象となったことを告げる。「千尋にすべての罪を押し付ける気か。そうはさせない。」倉木は室井にそう告げる。某国大統領の来日は翌日に迫っている。

 そして最終章。某国大統領の来日。幹事長の意向を受けて、そこで爆弾テロを企てる室井と、それを阻止しようとする倉木、大杉、美希たち。空港でのレセプション会場に仕掛けられた爆弾と、その起爆装置を持ち、起爆県内に接近する室井。大杉の知恵袋のハイテク警官が、通常と異なる電波の探知から、爆弾と起爆装置の位置を察知し、美希もいったん室井を確保、また空港に現れた百舌も室井を殺そうとするが、二人とも返り討ちに合い室井は逃れる。大杉は、すんでのところで某国大統領一行を避難させ、避難し損ねた大統領の幼い娘を救い出したところで、爆弾が炸裂する。

 室井に、爆弾事件の犯人に仕立て上げられることになり拘束された倉木も、移送中の車から逃れ、空港で村井を追う。暗い機械室での村井と倉木の闘い。村井に圧倒された倉木であったが、瀕死の状態で室井を追ってきた百舌が室井を殺し、自らも息絶える。そして事件後幹事長は、何気なくテロ事件を受けた警備体制の強化を表明し、倉木と大杉は、またしても事件は闇に葬り去られたことを嘆くことになるのである。

 備忘録も兼ね、ネタバレ的に展開を書いてしまったが、小説の原作を基にしたル・カレの映像版にも見られる通り、ここでも、すでに指摘した部分を含め、原作から多くの修正・変更を行っている。特に、最終章は、某国大統領の到着直後に、空港で爆弾テロが計画・実行されるということで、原作の大団円とは大きく場所も展開も変わっている。室井による某国大統領の暗殺計画の動機は、原作では、彼に惨殺された娘婿の死への復讐であったが、映像版では、公安省設立のための官房長官主導の陰謀への加担に変わっている。また原作ではほとんど登場しない、長谷川博己が演じる闇企業の総帥(東)が、公安OBという設定で、倉木の正義感に度々厳しい警告を投げかけるのも、展開に刺激を与えるための設定と思われる。そうした原作の変更は、その他の映像作品でも見られるものであるが、この作品の場合は、結構大きな修正が加えられているように感じられる。もちろん、政界中枢が絡んだ公安の裏工作とそれに巻き込まれていく現場捜査員の活躍と苦悩という大枠は維持されていることは当然である。それが成功しているかどうかは、視聴者の個人的判断であろうが、私としては、少し凝りすぎて無理があったのかな、という印象を拭い去ることはできない。それでも、初めて接した倉木役の西島秀俊のクールな演技や大杉役の香川照之の(半澤シリーズには及ばないにしても)性格俳優振りは十分楽しむことができたのであった。

 帰国後、日本の一般のTVドラマはほとんど見る気にもならないままであるが、日本でもこうした作品がある、ということを知っただけでも、見る価値はあった。そして百舌シリーズ第二作の「幻の翼」も、同様のTVドラマ・シリーズで出ているようである。これも続けて見てしまうのだろう。

2021年4月7日 記