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エクストリーム・ジョブ
監督:イ・ビョンホン 
 またまた、もう一本韓国映画。先日観た「権力に告ぐ」に、銀行を買収するファンド側弁護士役で出演していた、元韓国ミスユニバース代表のイ・ハニが登場するということで選択した。イ・ビョンホンという監督(同名の俳優かと思ったが、別人のようである)による2020年公開作品で、彼女の他にはリュ・スンリョン、チン・ソンギュ、イ・ドンフィ、ソン・ヨンギュといった俳優が出演している。中には、どこかで見たような顔もあったが、少なくとも私の記憶に残っている名前はない。

 コ班長(リュ・スンリョン)率いる、唯一の女性メンバー、チャン刑事(イ・ハニ)を含む総勢5人からなる麻薬捜査班は、実績が上がらないことで、所長から叱責されている。そんな中、年下であるが班長から課長に昇進したエリート刑事チェ課長(ソン・ヨンギュ)から、麻薬密輸組織の大物イ・ムベ(シン・ハギョン)が大きな取引を考えているので、捜査すると手柄になる、という助言を受ける。5人は、そのイのアジトの向かいにあるフライド・チキン屋で張り込みを始めるが、その客の入らない店は、閉店することが決まっていたことから、彼らは僅かな個人的資金を持ち寄りそれを買収、張り込みを続けるが、料理は素人であるメンバーの一人が作ったメニューが人気を呼び、その店は大繁盛することになる。店の切り回しと金稼ぎで多忙になる中、コは停職処分も受けるが、その間にイに動きが出て、慌てて捜査に戻る。そして最後には夜の港で、イの取引現場を押さえ、大乱闘の後、イの取引を阻止し、コ班長以下全員が表彰、昇進するのである。

 うだつの上がらない捜査チームが、フライドチキン屋で大繁盛している内に一旦任務を忘れるが、最後にその職務に目覚め、夫々の特殊能力を生かし、大きな麻薬取引を阻止するという、あまりに奇想天外な脚本で、あまり現実感はない。監督のイ・ビョンホンは、それを、途中はコメディータッチとコ班長の家族愛というペーソス等を交えながら、そして最後は派手なアクションで描いているのであるが、まあそれだけの作品である。何よりも、チャン刑事役のイ・ハニの容姿が今一で、「権力に告ぐ」で見せた冷たい美貌が全くなかったのが残念であった。最後に彼女と格闘になる麻薬組織の女用心棒ソニを演じたチャン・ジニという女優がやや目立った程度。それこそ暇潰しに見るので十分、といった作品である。

鑑賞日:2022年11月22日