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コンフィデンシャル 国際共助捜査
監督:イ・ソクフン 
 先週観た2018年2月公開のアクション映画「コンフィデンシャル 共助」の2022年製作の続編があるということで、まだレンタルは早いかなと思っていたが、既に「準新作」で出ていたので早速借りて観ることになった。監督・脚本は前作から変わりイ・ソクフン、主演の南北朝鮮の刑事を、前作同様ヒョンビン(北)とユ・ヘジン(南)が演じているが、今回はそれに米国FBIから、もう一人のイケメン刑事、ジャック(ダニエル・ヘニー)が加わることになる。尚、ユ・ヘジン演じるカン・ジンテの家に同居し、前作でヒョンビンに思いを寄せた義妹のパク・ミヨンは、前作でどこかで見た顔だな、と思っていたが、今回彼女は「少女時代」のイム・ユナであることに気がついた。前作では、可愛い女優だなと思いながらも、庶民風のいでたちがほとんどの脇役であったことから余り関心を払わなかったが、こちらでは途中から捜査に志願し、クラブでギンギンな衣装で踊る場面等もあったことから、あれ、と思って確認した次第であった。「少女時代」は言うまでもなく、私が一時期凝って、映像も多く保有しているK-POP女性アイドル・グループである。

 今回は舞台はニューヨークから始まる。そこでマフィア・グループの抗争にFBIが介入し、一方のグループの首領ミョンジュン(俳優はチン・ソンギュ)を逮捕する。しかし、その尋問はヒョンビン演じるチョルリョンが担当し、彼に反目するジャックの主張にも関わらず、米朝合意に基づきミョンジュンを北朝鮮に移送することになる。しかし、空港への移送の途上でミョンジョン・グループの武装集団の待ち伏せにあい、激しい銃撃戦の上、ミョンジュンは逃亡することになる。同じ頃韓国では、相変わらずうだつの上がらないジンテが、偽造パシポート・グループ摘発捜査などをしているが、犯人を取り逃がしている。そして北に帰ったチェルリョンは、ミョンジュンが、北で開発された新たな麻薬製造で10億ドルを手にして韓国に渡ったため、彼を逮捕して麻薬の秘密漏洩を防ぐと共に、その金を確保すべく、改めて韓国に派遣されることになる。再び南北の共同捜査が始まるが、前作で危険な目にあったジンテの妻は「今回チュルリョンに関わったら離婚」と騒ぐが、義妹のミヨンは、またチュルリョンに会えるということで大喜びである。こうして、またジンテとチョルリョンのコンビによる「共同捜査」が始められることになる。

 チョルリョンとジンテの捜査は、まずは麻薬組織に餌を投げて末端組織を囮にミョンジョン・グループの一人を逮捕するが、その尋問に、ニューヨークでの事件の捜査のためFBIから派遣されたジャックが参入し、そこを訪れたチョルリョンと険悪になっている。そしてジャックは彼を意図的に逃がした上で、組織の麻薬工場を探ろうとする。しかしそれはミョンジョンに漏れ、工場は爆破、3人はかろうじて助かるが作戦は失敗する。そこで、ジンテは二人を家に招き、和解を図ることになるが、ここで、義妹のミヨンが、チョルリョンを無視してジャックに愛想を振りまくのはご愛敬。

その後は、前作同様、3人夫々が隠し事を持ちながらの捜査が続く。10億ドルの元締めがクラブに入り浸っているということで、3人は派手な衣装とダンスで注目を浴びるミヨンを囮にそこに潜入。そこではミョンジョンが元締めを殺しているが、チョルリョンは、二人を裏切り、ミョンジョンを確保し、10億ドルを取り戻したことで、首脳会談で南に入ってきたボスに功績を称えられている。しかしそのボスは、実はミョンジョンとグルで金を横領しようとしていた。チュルリョンはそれに気がつくが、ボスとミョンジョンは仲違いし、ミョンジョンは高官を殺害、更にそのボスが宿泊していたソウルの高層ホテルの屋上に猛毒ガスをセットした上で証拠隠滅のためジンテと彼の家族を拘束する。帰国途上のバスの中で連絡を受けたジャックは、自らも同様に襲われるが、それを繰り抜けてジンテの家族救出に戻り、その足でそのホテルに向かう。そのホテルでは、エレベータが止まった状態で、ミョンジョンとチョルリョンの最後の闘いが、屋上や側面に吊られた掃除クレーンで繰り広げられ、ミョンジョンは落下して死ぬが、猛毒起動装置を作動させる。落下した彼が持っていたその起動装置を止める鍵を、駆け付けたジャックがドローンで屋上に届け、最後起動はすんでのところで阻止されるということになる。

 今回も、至る所で激しい乱闘アクションが目一杯繰り広げられている。まず冒頭ニューヨークの街のど真ん中で、自動小銃や爆弾が使われる激しい闘いが繰り広げられるのは、やや非現実的であるが、それ以外は許してあげよう。特に最後、高層ビルの屋上や側面に吊られた掃除クレーンでのミョンジョンとチョルリョンの闘いは迫力満点であるが、ジンテに加え、今回新たに参入したイケメン・ジャックのアクションも中々である。南北朝鮮にFBIが加わったことで、夫々の思惑がやや複雑になり、また北の高官とマフィア・ミョンジョンの関係なども、話の展開を面白くするための工夫だったのだろうが、話がやや理解しずらくなったことは否めない。ただそうした不満は3人の主演俳優の活躍で十分補われることになる。

 今回参入したジャックは、如何にも整ったイケメンで、彼と並ぶとチョルリョンは、やや庶民風イケメンという感じで、好みは分かれるのだろう。ただ映画では、義妹のミヨンは、一旦はジャックに惹かれるが、最後はやはり想いはチュルリョンに戻るということになっている。そして私は、今回魅力を増したミヨン役のユナを改めて楽しむために、久し振りに「少女時代」の映像を眺めてみようと考えているのである。

鑑賞日:2024年8月28日