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シンガポール通信
旅行
クアラルンプール市観光記(写真付)
2010年9月10日ー11日 
 昨年のモスレム断食明けの祭り、ハリ・ラヤ・ハジの3連休ではホーチミン市を訪れたが、今年はアレンジも遅れたことから気楽なバス旅行でクアラルンプールに行くことにした。クアラルンプールは、以前日本に滞在していた頃に、ペナンでの休暇の最後に一泊だけ滞在した他、こちらに赴任後2回出張で滞在している。しかし、昔の一泊の滞在は、実質到着日の夜だけの時間しかなく、滞在していたマンダリン・ホテルの近辺をうろうろしただけであり、またこちらに来てからの出張は、実質日帰りに近いスケジュールで、仕事に追われ、そのまま帰国してしまうことから、市内を見て回る時間は全く取ることはできなかった。この町には、今後も仕事で行くことも多いであろうことから、今回は少し町の雰囲気も知っておこうということで、一泊のプライベートのバス旅行をアレンジした。

 前回のマラッカ旅行の際、1週間前では良い時間のバスが取れなかったが、今回も結局アレンジは一週間前の週末になり、同じ轍を繰り返すのではないかと懸念していた。しかし、今回は、その時と同じモスレムの休暇であるにもかかわらず、バスには余裕があり、9月10日(金)午前10時半という、朝ゆっくりでき、且つ到着後の夕刻の時間も使える便の予約ができた。帰宅便は、マラッカの時と同じ、午後3時のホテル・ピックアップ。ホテルについては、バスのピックアップ・ポイントになっているSwiss Garden Hotelというのを、別の旅行会社のサイトで予約した(S$120/一人、朝食ブッフェ込み)。

9月10日(金)

 バスは、前回同様Golden Mileというショッピング・センター発。今回は場所も分かっているので、出発予定時刻の30分前ギリギリに到着したが、前回受付をした窓口にシャッターが下ろされている。一瞬焦って、バス予約のコンファメーションを見ると、同じバス会社のサイトでの予約にもかかわらず、今回のエージェントは、Golden Mile Complexではなく、Golden Mile Towerにあるとなっている。聞くと、それは隣のビルである、ということで、あわててそちらに移動し、出発時刻まで30分を切っていたが、無事受付をすませた。

 程なく、バスの準備ができた、との指示で10時20分頃バスに搭乗。レイアウトは前回同様一列2席+1席のレイアウト。ネットで指定した後方の一人席に着く。以降、バスは、10時30分定刻に出発、いつものようにシンガポール側とマレーシア側の入管を通過し、マレーシア側に入ったのが11時45分。そこからクアラルンプールまでは330キロという表示が目に入る。

 そこから1時間ほど走った13時過ぎ、高速を出て休憩所に入るが、前回マラッカへの途上で立ち寄ったそれとは異なる場所である。行く先ごとに若干時間が異なるので、幾つかの場所を使い分けているのだろうか?朝、残り物処分でたっぷり食べてきたので、軽くフライド・チキン一切れとフライド・ポテトの軽い昼食(7.5リンギー1リンギは約28円)を済まし、再び13時50分頃出発した。

(休憩所)


 そこからクアラルンプールまで、休憩なしでバスはふっ飛ばし、丁度16時にKLのバス・ターミナルと思しき場所に到着した。やや胡散臭いタクシー乗り場でホテルまでの乗車を告げると、中国人の若い運転手とマレー人の仕切り屋の間で意味不明の大声での怒鳴り合いがあったが、取り敢えずOKとなり、値段を確認して乗車する。クアラルンプールでは1カ月ほど前、空港に着いたスリランカ人3人が白タクに乗り誘拐され、貴金属を持っていたため監禁・拷問を受け、結局窓から逃げようとしてその内の一人が転落死するという事件が起こったばかりである。やや緊張するが、走り出すとごく普通のタクシーであった。30リンギという値段も、ややぼられたかな、と思ったが、バス停は結構町の中心部から離れており、高速で結構走ったので、まあ妥当か。ハリラヤの祭日で、道は普段と違ってガラガラ、という運転手の話を聞きながらSwiss Garden Hotelに到着したのは16時半であった。

(Swiss Garden Hotelと窓からの眺め)





 早速不要な荷物だけおいて町に繰り出す。まずはホテルで翌日のスケジュールを相談するが、当初予定していたBatu Caves(黒風洞)の入ったツアーが80リンギであるということなので、路線バスでも行けるが、気楽なので、それに申し込む。もう一つシンガポールにもあるゲンティングが経営するオリジナルのカジノ・リゾートを覗くことも考えていたが、行きのバスの中で、何気なくいつもの短パン、サンダルで来てしまったことに気がついた。この格好ではカジノには入れない、ということでゲンティング・リゾートは次の機会にすることにした。その上で、オフィスのローカル・スタッフに奨められたココナッツ・チキン・スープ屋を目指してタクシーに乗る。

 地図を頼りに、タクシー運転手に指示をするが、店の名前は彼も全く知らない。それらしき地点で、町並みが途絶え、広い空き地が広がる角に、小さなストールとその裏の木陰にテーブルが並んでいる。ここに違いないということで車を降り、そこに入り、店の名前である「強記補品」であるかと店員に確認すると、そうだという。ローカル・スタッフによると、そこの推奨品であるココナッツ・チキン・スープは、その日の作り置きがなくなると終わり、とのことであったので、それはあるか、と聞くと「ある」とのことで、そこに腰を落ち着かせることになった。併せて、やはり薦められていた豚チャーシューと飲み物として別にココナッツ・ジュースを注文する。

 シンガポールを出る時から空は曇っていたが、クアラルンプールも曇天で、時折遠くで雷の音も聞こえていた。しかし、その分涼しく、屋外のストールは気持ちが良い。午後5時過ぎであるが、次から次に客が訪れ、繁盛しているところを見ると、やはり「有名ストール」なのであろう。しかし、テーブルの直ぐ横ではおばちゃんが盥で食器を洗っているところなどは、ほとんど観光客は対象にしていない店という感じである。

 そのココナッツ・チキン・スープは、ココナッツを繰りぬいた中に、茹でた鶏とスープが入っている。食べ始めると、鶏のだしに、ココナッツの甘さがほのかに絡み、なかなかの味である。中に入っている鶏肉も思ったより大きい塊で、豚チャーシューに白米があることから、たいへんな量である。ただ、ココナッツの容器自体は、何度も使っているのではないかと思えるので、その香りはその使用頻度如何という気がする。値段は締めて18リンギ(約500円)。そこまでのタクシー代(20リンギ)より安く満腹になるのであるから十分である。

(ココナッツ・チキン・スープのストール「強記補品」)





(ココナッツ・チキン・スープ)



 空模様がやや不安になり、小雨がぱらついてきたこともあり、そこを離れ、近所のショッピング・センターに移動する。Berjaya Times SquareというそのSCは、入っている店舗はあまり代わり映えしないが、シンガポールのそれを上回る大規模施設で、映画館などに加え、一回転するジェットコースターを含めた屋内のアミューズメント施設を有しているのには驚いた。

(Berjaya Times Square)





 一回催し物会場で上演されていたモスレム風のカルテットの演奏と女性二人のダンスなども眺めながら、雨の上がった町に出て、またローカル・スタッフから薦められていた繁華街であるJalan Alorに移動した。

 この通りは、カジュアルな食堂やバーが通りの両側に所狭しと並ぶ、アジアでよくあるレストラン街である。私も、その前の「ココナッツ・チキン・スープ」が軽ければ、ここで改めて食事ということも考えていたが、いかんせんそこで食べ過ぎていたので、何となく店を眺めながら彷徨ようことになった。

(Jalan Alor)



もう一本並行する通りであるJalan Bintangは、もう少し洒落た通りであるが、ここは道の両側にマッサージ店がいくつも並んでいる。ここのところ、マレーシアではあまりマッサージに恵まれていなかったこともあり、いくつか覗いた上で適当な店に入った。60リンギ/1時間という値段は、だいたいどこも同じ。個室で、インドネシアと同じようなオイル・マッサージである。担当は中年を越えたおばちゃんであったが、腕はあまりうまいという感じではなかった。しかし、バスの長旅に続く食事で満腹になり、その後1時間ほど歩きまわっていたので、途中でいつものようにうとうとしてしまった。終わった後は、インドネシアのようにシャワーを浴びるのではなく、タオルでオイルを拭き取るだけであるが、短パンとシャツだけなので、あまり気にならない。終わったのはもう9時過ぎになっていたので、また近所のSCなどを眺めながらJalan Alorに戻り、通りを行き来する人々を眺めつつビールを一本飲み、そして歩いて10分ほどのホテルに戻ったのだった。

9月11日(土)

 7時のモーニング・コールで起床し、朝食ブッフェを済ませてからチェックアウトし、9時の迎えを待った。昨日と打って変わって天気は快晴。暑くなりそうである。それ程遅れることなく、ホテル前のバス停に大型の観光バスが止まり、それに乗り込む。しかし、直ぐに目的地に向かうのかと思っていると、10分ほど走ったバスの集合場所で全員降ろされる。行き先によりバスを乗り換えるので待っていろという。同じ大型バスで来た人々が、「市内観光はこちら」という声に誘導されて別のバスに向かっていく。「Batu Cavesはまだか?」と聞くと、「そのツアーは別なので、まだ待っていろ」とのこと。我々のツアーは、「クアラルンプール郊外観光」だそうだ。同じ目的地であることが分かった青眼の老人カップルなど話ながら待っていると、結局最後に近い方で、小型バスに誘導されることになった。同乗客は、私を含め10人。オーストラリアからの青眼の老人夫婦二組、5−6歳の男の子を連れたインド人の家族と韓国人の若いカップル。一人は私だけなので、私は運転席の横の助手席に着くと、中国系の中年の運転手が席に着きバスを発車させた。時間は9時半を過ぎたくらいである。

 彼が今日の運転手兼ガイドのようである。運転しながら、自己紹介に始まり、町の一般的な解説から、道路上の建物などを説明していく。シンガポールと同じような高層アパート群が見えてくると、「これらのアパートは、2−3ベッドルームで40万リンギ(約12百万円)」と言っていたが、やはり不動産はシンガポールに比べると、まだ相当安いようである。マイクを使わない説明なので、声は大きいけれども、後ろの席の老人などは聴きにくいと思うが、私は全く問題ない。「中国人がいないのは、北極と南極だけだ。なぜならそこにはカジノがないからね」などと時折冗談を交えた運転手の話が続き、こちらも気楽に質問などをしつつ、バスは大使館街を抜けて町の東方に向かい、この日最初の下車地点であるロイヤル・セランゴールの工場に停車した。

 マレーシアの限られたブランド物テュ−ターであるが、当方はあまりブランドには興味がない。昔ペナンのストールで安く買った小さなケースは我が家の玄関で長く使われているし、先日のマラッカでも動物の置物を買ったばかりである。ということで、ここではテューターの製造過程の一部の見学と自分での体験、そしてお決まりの売店というお仕着せコースで時間を潰すことになった。

(ロイヤル・セランゴールの工場)



 10時40分にそこを出て、再び高速道路を東に向かう。正面に平原からもっこりと盛り上がった岩山が見えてくる。「あれは何だ」と聞くと、「あれがBatu Cavesのある山だ」という。しかし、その前に、もう一か所キックバック目当ての売店がある。これもマレーシア観光定番のバティク製造工場である。

(高速から見えるBatu Cavesの山)



 ということで、洞窟寺院の前に、もう一か所バスが停車する。中小企業が集積している工業団地の中にある小さな工場で、いつものとおり、簡単な模様の枠付けや色付けの実演を眺めてから売店へ。短時間だけ店内を眺めるが、すぐに外に出てタバコを吸っていた。

 こうして時間を潰した後、11時過ぎにそこを出て洞窟寺院に向かう。そこからすぐ、ということであるが、丁度モスレムのハリラヤのこの日はヒンドゥーの祭日でもあるということで、寺院の周囲の道路は結構混雑している。結局11時半に駐車場でバスを降り、1時間後にピックアップされるまで、各自勝手に参拝するということになる。

 なかなか壮観な眺めである。1878年に発見されヒンドゥーの寺院となった鍾乳洞である。まずは正面の272段の階段を登る。中央の手すりを挟んで幅3メートル位の急な階段が2つ。結構人で込み合っているが、インド人の老人も多く、20段ほど毎にある踊り場で休息しながら登っている。階段の幅が狭いので、私でも注意して登らないといけない。これで老人が階段を踏み外して落ちてきたらもろとも転落だな、と考えると、上方が気になり始め、長いは無用とばかりに上に注意しながら一気に登ってしまう。駐車場は直射日光で暑かったが、幸いに階段は日陰になっていたので、むしろ心地良い。しかし、さすがに一気に登ると、頂上に着いた途端に汗が溢れてくる。

(Batu Caves正面と階段)





 一休みしてから、いよいよ洞窟の中に入る。いきなり大きな空洞である。ガイドブックによると、内部の最高部は112メートルになるという。所々に祭壇や神々の人形が置かれている。洞窟の中は涼しく、時折蝙蝠が飛んでいる。その入口洞窟の一番奥左にあるのがメインの神殿ということで、ここではお祓いを待っているインド人の長蛇の列が出来ていた。

(洞窟の入り口と神殿)





 この洞窟の奥に、別の階段とそこに当たる日射しが見える。その階段はせいぜい30段くらいのもので、それがこの洞窟寺院の最深部である。上には空が覗き、そこに向かう岩場には猿がうろうろしている。その空間にも神殿が一つ置かれ、周囲の岩には小さな祭壇や人形が置かれている。

(洞窟の奥とそこから見上げる空)





 しばらくゆっくりしてから、空間を左に回りながら帰途に着く。改めて階段の上から下を眺めると、なかなか壮観である。下りの階段を一気に降りる。

(階段の上からの眺め)



 ガイドブックによるとヒンドゥー絵画などを展示した洞窟博物館があるということで、それを探した。直ぐに正面左に小さな入口があるのが分かる。入場料15リンギを払って中に入る。

 池を渡る通路を通って進み、やはり岩盤に空いた小さな穴から中に入る。入口通路には上から明かりも射し込んでいるが、その通路にどぎつい色使いのヒンドゥー絵画が展示されている。それらの価値がどの程度あるのかは分からないが、一見素人が描いた一般的な絵画のような印象で、あまり家には飾りたくないタイプの絵画である。それでもヒンドゥーの雰囲気を味わうには充分である。

(博物館の入り口)







 通路に従い右にある小さな橋を渡ると再び洞窟の中に入る。こちらは、寺院ほどは空洞が大きくないが、それでも一部は一般の博物館の一室にいるような感覚になる。中は寺院と同様の展示。神の像の前で、インド人が記念写真を取っている。
小さな通路に置かれた檻型の扉を抜けさらに奥に進むと、そこは小動物の展示室である。亀やねずみの類から各種蛇を入れた檻や水槽が置かれている。空気も籠り、やや匂いもあるのでそこは早々に退散し、再び表に出る。

 博物館スペースには、小さなステージもあり、時々ショウらしきものも行われるようである。ミッキーまがいのキャラクターが風船細工を行い、家族連れが一緒に写真などを取っているのを眺めながら、酷暑の駐車場に戻る。丁度時間は12時半である。インド人の家族だけ時間までに戻ってこないので、「お祓いなどで時間がかかってるのじゃないか」等と話していると、10分ほどして彼らも戻ってきた。

 尚、この洞窟は、別掲の「観光コースでないマレーシア・シンガポ−ル」によると、日本軍占領下の1942年9月に、ミステリアスなマラヤ共産党上級幹部大襲撃事件があった舞台でもある。その本によると、この洞窟の山麓で党中央委員会を開催するために幹部が終結していたところに日本軍が襲撃し、29名が射殺、15名が逮捕されたという。そして議論は、唯一難を逃れ脱出した書記長ロイ・タクのスパイ疑惑に移っていくのであるが、さすがにこの事件が、実際どこで起こったのかは聞くのは躊躇われた。大きな岩盤になっている地形なので、さすがにこの洞窟内ということではなく、その周囲のどこかであった、ということであろうが、取り敢えずその現場の雰囲気を味わうということで満足せざるを得なかった。

 これで、このツアーは終了である。どうってことはない、洞窟寺院の往復にキックバック用の店を2つ加えただけのものである。しかし、一般のバスを使う場合の発着所の確認やロスタイムを考えると、まあ正解であった。帰途、一組ずつホテル等で下車し、私が最後の乗客になった。3時のホテルでのバス・ピックアップまで時間があり、買い物でもしようと考えていたので、「ホテルに戻るのではなく、チャイナタウンとセントラル・マーケットあたりで降ろしてくれないか」というと、最初は「帰途から外れるので」とネガティブだった運転手も、私が一人になると、「道路が空いているので、そこまで送ってやるよ」ということになった。しかし実際には、そこに近くなると結構な渋滞が始まっており、時間をロスしてしまったのであるが・・。その間、運転手から色々クアラルンプールについての情報をもらいながら、また戻ってきた際は、彼に連絡を取ることを約した。こうして中華街の雑踏の前で車を降りた時は既に2時近くなっていた。狭い歩道に人が溢れ、歩くのも時間がかかる。結局、セントラル・マーケット入口まで行ったが、ここに入ると、戻るのに相当時間がかかりそうだったので、今回はバザールでの買い物は諦め、ホテルの方向を目指して大通りに沿って歩き始めた。

(セントラル・マーケット入り口)



 運転手が「15分もあればホテルに歩いて戻れるよ」と言っていたが、万一を考え早めに歩き始めたところ、結局彼が言ったとおり15分でホテルの前に戻ってきた。まだ3時までには50分ほどあるので、ホテルの向かいの大衆食堂で、遅い昼食としてエビ・カレーを食べ(飲み物込み10リンギ)、食後隣の喫茶店でHoney Dewというフルーツの乗ったかき氷(5リンギ)を食べ、2時半頃にホテルに戻り、預けていたビニールバックの荷物を受け取った。

(エビ・カレーとかき氷)





 ロビーで待っていると、2時45分にもうバスが到着。どうもマレーシアのバスは、帰宅便が早めに来るようだ(あるいは祭日で道が空いていたのか)。このバスは、このホテルが始発で、10人ほどの客と共に直ぐに乗り込み、出発した。もう一箇所のホテル・ピックアップを終え、バスは高速道路に入る。いつものとおり、私は歩き回った疲れもありウトウトしていると、まずは4時半頃に一回高速沿いのドライブインで10分程度のトイレ休憩。続いて5時45分に、行きに止まった同じ場所で30分の休憩。6時15分にそこを出ると、7時半にはマレーシアの通関まで到着した。これであれば8時半頃には帰れる、と思っていたところ、そこで何の説明もなくバスはガソリンスタンドに立ち寄り、そこで30分程のロスタイムができることになった。結局シンガポール側の通関に入ったのは8時半前になり、通関は空いていたので助かったが、結局出発点であるGolden Mileにバスがついたのは9時になってしまった。もちろんそこからタクシーで10分ほどで自宅には戻ってきたのであるが、帰途は計6時間の旅となったのであった。

 今回の小旅行は、前回のマラッカほどではないにしても、いつもながらの衝動的アレンジで、滞在時間も決して長くなかった。また観光資源として訪れたのは実質Batu Cavesだけ、という小旅行であったが、他方でクアラルンプールは、シンガポールと同じ「都会」でることから、都会としての面白さがあったと言える。出張で、点と点の間を動いていると見えてこない町の様子が、気ままに歩き回ることで少し分かるようになる。そうするとまた出張で訪れた際の親近感も増すのである。既にバンコクは、公私共に何度も訪れていることから、こうした「慣れ親しめる町」になっているが、今回の滞在でクアラルンプールもそれに加えることが出来るようになったのではないかと思える。そして今後は、ジャカルタなどもこうしたレパートリーに加えていきたいと考えているのである。

2010年9月17日  記