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HSBC Women’s Golf Championship 2012(写真付)
2012年2月26日 
 2年前にも、観戦した女子プロゴルフの米国LPGAツアー今期第二戦が、今年も2月23日から26日の4日間、シンガポールのタナ・メラ・ゴルフ・クラブ(ガーデン・コース)で開催された。2年前での大会では日本から出場した宮里藍が、前週のタイでの第一戦に続く連続優勝を果たした(別掲ご参照)が、昨年は彼女は不調で、替わりに有村智恵が、最終日スタート時点まで首位をキープしたことから、地元のマスコミでも連日大きく取り上げられることになった。しかし、最終日にC.カー(豪)に逆転を許し、一打差2位と、2年連続の日本人優勝はならなかった。その昨年の試合は、最後まで行くかどうか迷って結局テレビで観戦することになったが、今回は知合いからチケットを譲り受けたこともあり、2年前と同様、最終日の午前に会場のタナメラ・ゴルフ・コースに出かけていった。前夜、業務で若干のトラブルがあり、当日早朝会社に出た後、一旦自宅に戻ってから出かけて行ったため、地下鉄とシャトル・バルを乗り継いで会場に到着した時には、1番ホールでは、既に最終から2番目のパーティがスタートする時間(9時58分)になっていた。

 今回は、再び宮里藍が好調である。前週のタイでの大会では、最終的には、世界ランキング第一位の、ヤニ・ツェン(台湾)に一打差で優勝をさらわれたが、最後まで優勝争いに加わる活躍であった。そして、今回も2日目を終わった段階で、宮里藍は首位3人(8アンダー)と3打差(5アンダー)の4位と好位置であった。しかし3日目に、上位陣がスコアを伸ばしたのに対し、彼女は伸ばせず、この日は9位タイ(4アンダー)で、最後から4組目のスタートである。日本人では他に、上田桃子が初日2位スタートと好発進したが、この時点では1アンダーに後退し、またもう一人日本からの参加の宮里美香(3アンダー)が、宮里藍に続く日本人選手となっていた。この両宮里が、この日は同じパーティで、9時36分のスタート。私が到着した時点では既に出た後であった。

 こうして、まず1番ホールで、最終スタートから2番目の、ヤニ・ツェン(台湾)、フェン・シャンシャン(中国)、シン・ジエ(韓国)のパーティから観戦することになった。前述のとおり、ヤニ・ツェンは、現在世界ランキング1位で、その安定したスイングは、プロ選手からも賞賛されている。前週のタイでの優勝に続くこの大会でも、スタートこそ平凡なスコアだったが、じりじりとスコアを上げ、この日もトップと3打差5位でのスタートである。フェン・シャンシャンとシン・ジエは、双方共日本ツアーで活躍し、数々の勝利を挙げていることから日本でも名前が知れているプレーヤーである。ただ正直なところ3人とも、外見上はあまり魅力があるとは言えない。

 2年前と異なり、この日は空に雲も出ており、それほどの猛暑ではない。時折吹く風がむしろ心地よいくらいで、この3人のティー・ショットを見届けた後、すぐ横の2番ホールのグリーンに移動し、両宮里のパーティが戻ってくるのを待った。

 直ぐにセカンド・ショットの位置に進んでくる3人が目に入る。両宮里の他はH.Y.パクというやや大柄の韓国の選手である。3人とも第二打でグリーンを捉え、しかしバーディー・パットははずし、このホール全員パー。二人の日本人がいるパーティということで、ティー・グラウンドから付いてきた多くの日本人ギャラリーが一緒にグリーンを取り囲み、ここかしこで日本語の会話が聞こえてくる。その集団は、そのまま3番の池越えショート・ホールに移動する。私も、その集団と一緒に移動し、3人がティー・ショットをオンさせたのを見届け、今度はその集団の移動とは逆に動き、再び2番ホールのグリーン横に位置をとる。前回もそうであったが、この位置は、2番と3番のグリーンを両方見ることのできる地点である。

(両宮里―2番ホール、3番ホール)











 こうして、まず両宮里の次のパーティが2番グリーンに上がってくる。これはN.Y.チョイ、I.K.キム、S.Y.リューという韓国3人組である。この内チョイが、この日後半、優勝争いに関わってくる。この3人のパットを眺めながら、同時に3番ホールでの両宮里のパットを追いかける。宮里藍のほうが、ティー・ショットで距離を残していたが、彼女は短い折り返しを外し、このホール、ボギー。ギャラリーから大きな溜息が漏れる。美香はパー・セーブである。

(N.Y.チョイらー2番ホール)



 日本人ギャラリーは、両宮里と共に4番ホールへ動いていくが、私は、そのまま2番のグリーン横で、後続パーティを待つ。まず1番のティー・ショットを見たヤニ・ツェンのパーティ。この2番では、ツェンが第二打を1メートルほどに付けるナイス・ショットであったが、まずは5メートルほどのパットを残したフェン・シャンシャンが見事なバーディー。シン・ジエはパーであったが、ツェンは楽々バーディーと、これからの追い上げが予想される展開であった。

(ヤニ・ツェンらー2番ホール)





 続いて、最終組が2番のセカンド・ショットの位置に現れる。この最終組はK.フッチャー、A.スタンフォード(双方、米国)、ジェニー・シン(韓国)の3人が9アンダー、トップ・タイで並んでいる。A.スタンフォードは、昨年の獲得賞金額で7位の実力者であるが、K.フッチャーはランク下のプレーヤー、ジェニー・シンに至っては19歳の新鋭である。この2番では、A.スタンフォードがバーディーであったのに対し、ジェニー・シンは、1メートルほどの短いバーディー・パットを外し、他の二人が既に次のホールに移った後もがっくりして、しばらくグリーンに佇んでいたのが印象的であった。

(A.スタンフォードらー2番ホール)



 こうして最終組が、3番に移った後は、2年前と同様、先にスタートした組が戻ってくるのを、9番ホールで待つことにした。そこでまずプレイした組のメンバーを見たところ、上田のパーティの一つ前であったので、次の上田を待つことにした。スタートの間隔は11分。直ぐにセカンドの位置に着いた上田が判別できた。彼女の第二打は、グリーン手前のラフである。先に同じような位置から打った他のプレーヤーがミス・ショットで、カップから距離を残したのに対し、上田の第三打は、カップ1メートルほどにぴたりと寄せ、ギャラリーからの拍手を受ける。しかし、その短いパットを外し、このホール、ボギー。この段階で4アンダーまでスコアを伸ばしていたが、また3アンダーに後退した。どうも、私が見ていると、日本人選手はあまり良い結果が出ないようである。そのまま10番に移り、彼女のティー・ショットを見たところで、12時も近くなっていたので、引き上げる態勢に入った。

(上田桃子―9番ホール)





 この日は、2年前ほど暑くはなかったが、それでも2時間近くうろうろしていると、喉はカラカラである。清涼飲料で喉を湿らせた後、記念グッズの交換場所で傘などを受け取って帰宅の途についた。時間は丁度12時を回ったところである。こうしてまたシャトル・バスと地下鉄を乗り継ぎ、自宅近辺で軽いお昼を取り、午後1時過ぎに家に戻った。その後はテレビで観戦ということになる。

 宮里藍は、結局この日5バーディー、2ボギーでスコアを3つ伸ばし、7アンダーで終了した。テレビでは、12アンダーまで伸ばした韓国のジェニー・シンを、同じ組のA.スタンフォードが11アンダーで追う展開。その他二人が10アンダーでフィニッシュした後、最終組が18番の最終ホールに移る。私は、日曜夕刻定例のテニスに出かける時間が近づいていたが、あと1ホールであれば結果を見ることができるかな、と考えていた。

 ところが、家の窓から外を見ると、空は明るいにも関わらず、突然雨が降り始めた。これはテニスには良くない、と考えていると、テレビ画面でも、最終組の最終ホールを残して天候悪化のためサスペンドになったとのコメントが出て、3人のプレーヤーがバギーでコースを後にしていくのが映し出された。シンガポールの天気はまったく予測が出来ず、また場所によって天気も異なるのだが、偶々この時は、私の住居近くと10キロほど離れたゴルフ場の双方に偶々雷を伴う雨雲が同時に現れたようであった。最終決着を見ないまま定例のテニスに向かったが、結局雨は直ぐ止み、コートを乾かした後、予定通り夕方7時までプレーが出来たので、ゴルフもすぐ再開したのは間違いなかった。

 ネットで最終結果を確認したのは、帰宅してからである。結局、1時間半後に再開した18番で、ジェニー・シンは痛恨のダブル・ボギー。スタンフォードもボギーで、10アンダーの4人(二人に加え、N.Y.チョイとフェン・シャンシャン)でのプレーオフに突入。因縁の18番を使ったプレーオフで、まずフェン・シャンシャンが、二回目でチョイが脱落し、結局スタンフォードとシンの対決となったが、シンが最後にボギーを叩き、パーで上がったスタンフォードが、この大会としては米国人初の優勝者となり、優勝賞金210千米ドルを獲得したのであった。

 因みに、この試合の上位は、以下の選手である。

優勝:A.スタンフォード(10アンダー・プレーオフ)
2位:N.Y.チョイ、S.フェン、J.シン(10アンダー)
5位:Y.ツェン(9アンダー)
6位:宮里藍、IK.キム(7アンダー)

その他二人の日本人選手のランクは、

13位タイ:上田桃子(4アンダー)
35位タイ:宮里美香(2オーバー)

であった。

 今回は2回目の観戦とあって、前回のような新鮮な感覚はなかった。いつもながら、大型の欧米選手に混ざり健闘する小さな日本人選手には賞賛の気持ちを禁じえないが、それ以上に、韓国選手の勢いは、またこれがアジアのツアーであることもあるのだろうが、すごいものがある。この日も、最後まで優勝争いをしたジェニー・シン、プレーオフに残ったN.Y.チョイなど、新鋭も育ってきているようである。この日見た最終組の一つ前は、3人が全て韓国人ということで、選手層の厚さも出てきている。4日間のシンガポールでの戦いは、今回は、米国人A.スタンフォードの劇的な逆転優勝で幕切れとなったが、これからも、この戦いでは、台湾人のヤニ・ツェンを筆頭に、日本人選手と韓国人選手というアジア勢がそれなりの存在感を示すことになるのであろう。

2012年3月2日 記