アジア・ドイツ読書日誌と
ロンドン・東京・フランクフルト・シンガポール音楽日誌
シンガポール通信
序文
序文
 
 今回のHP改定にあたって、当初から構想していたのは、私の現在の生活の場であるシンガポールからの情報発信コラムであった。

 当初、自力でHPを立ち上げたのは、ドイツから帰国した時期であり、言わば過去の総括としてのドイツでの読書や音楽生活を発信していこうという動機からであった。ドイツ滞在時期は、ネット社会の未発達もあり、そこでの情報を同時に発信することなどは考えもできず、帰国後、最低限過去の情報を整理すると共に、それを同時代的に更新していくというのが精一杯の活動であった。しかし、そこで自力で立ち上げたHPはトラブルも多く、結局ある時期から更新不能状態となり、気が付いたら既に立ち上げから10年近い日本での日々が過ぎ去っていたのである。

 日本でのその10年間の生活に退屈を感じ始めていた矢先、機会がありシンガポールでの仕事を得ることになった。生活の転機というのは、惰性的な習慣から一歩踏み出す良い機会となることが多い。2008年4月、シンガポールへの転勤が内定した時期から、既往のHPの改訂の検討に入ることになったが、その主たる動機は、以前の海外勤務の時代に果たせなかった、同時代的な海外からの情報発信であり、そのための手法としては、シンガポール通信のコラムを追加することが最大の課題であったのである。しかし、結局出発前の多忙さから、日本でのHP改定は果たすことができず、それはこちらへの着任後に持ち越すことになった。

 こちらに来て、早1年が過ぎ去った。その間、私の本来的な業務では、サブ・プライム問題に始まり、リーマン破綻により一気に深刻化した経済危機があり、業務面では決して順調とは言えなかったが、私生活はすっかり落ち着くことになった。単身赴任であるが故の寂しさと自由が交錯する中、今までは素人として、家族との休暇を過ごすだけの場所であったアジアが、次第に体に沁み渡ってきたのである。そうした中、偶々こちらでの知人を通じ、HP作成のプロの紹介を受け、彼の尽力で今回このHPの全面的改訂が実行できたのである。こうしてようやく立ち上げが完了した今、この場を借りて、彼のご支援に心からの敬意を表したい。

 こうして今回新たに加わった、現在の私にとって最も思い入れのあるコラムが、この「シンガポール通信」である。しかしながら、ここシンガポールからの同時代的な情報発信、といっても、まだ具体的な内容のイメージはできないままに立ち上げることになったことから、業務上の資料を除けば、まだ個人ベースでの掲載の価値があると思われる情報はまだ限られているというのが現状である。その結果、このコラムは、まずはここシンガポールからの旅行記の掲載から開始することにした。今後走りながら、構成や具体的な掲載記事を適宜検討していこうと考えている。また、アジア関係の書評や映画評は夫々のコラムに適宜掲載することとし、ここではそれ以外の情報を掲載していくことになる。しかし、繰り返しになるが、それがどのような情報になるかは、正直まだ考えがまとまっていない。ぜひ読者の皆様のご意見を頂きながら、今後ゆっくり考えていきたいと思っている。

2009年9月